さて、では生活期のリハビリについてお話を進めていきます。
回復期では回復期についてのコラムの通り、非常に充実したリハビリを行える環境が用意されています。
しかし、生活期において、少なくとも「改善」を目指したリハビリが出来る環境は、実は現状の日本では非常に少ないのです。
生活期におけるリハビリテーションの現状
生活期に入ると基本的には医療保険でのリハビリは「できません」。
介護保険を使用したリハビリは、外来に通う場合(通所リハ)と、自宅に来てもらう場合(訪問リハ)の2種類がありますが、通いの場合は「デイケア」という施設になります。
ただ、ここでのリハビリは通常、療法士1対患者さん多数のリハビリのため細かい指導は難しく、時間的にも20分~40分程度と短く、改善を目指すのがそもそも難しい構造になっています。
また通われている方の多くが高齢者の方で、リハビリ目的というよりかは、患者さん間での交流だったり、一人で留守番出来ない方の預かりの要素が強かったりします。
また、訪問リハビリは個別ですが、患者さんの自宅で基本的に行うため、リハビリの内容に制限があります。
自費診療によるリハビリ
このように、生活期のリハビリには、改善を目指すには非常に厳しいという、状況があります。
そこで最近増えてきているのが「自費リハビリ」です。
しかし、自費リハビリは、保険でのカバーが無い分、どうしても患者さんの金銭的負担が増える事は避けられず、また医師が介入しないサービスもたくさんあるため、安全性という面でも心配な部分もあります。
そのため、なかなか日本に浸透していないのが現状です。
生活期での改善を目指すリハビリテーションの大切さ
このような状況から、回復期でしっかりと改善を目指していく事が一番重要な事なのですが、そううまくいく場合ばかりではありません。
もちろん、現状維持や、後遺症が残る状態でも「良く」生活が出来る事を目指す事も生活期のリハビリテーションとして当然大事です。
しかし、生活期のリハビリテーションをより充実させて、『改善』を目指していく事を選択肢として提示できる事もまた必要な事ではないかと私は考えます。
そこで当院では、介護保険の加算を上手く使う事で、期間限定で自費のリハビリのような事を保険で行える形を考えています。
また、自費のリハビリも組み合わせていく事で、回復期のリハビリに近い質のリハビリを生活期でも行う事で、「より改善を目指していく事を『諦めない選択肢』」も、患者さんに提示していきたいと思っています。
入院しない生活期だからこそのメリットや選択肢
また、生活期リハビリテーションは外来ベースなので、ご自宅での生活をしながら、しっかりとした訓練を織り交ぜていけるため、精神的に追い込まれる事が比較的軽くなるため、継続しやすさは非常に大きいかと思います。
また、外来診療を組み合わせる事によって、ボトックスの注射などの高額な治療や、自費の治療(ハイドロリリースといった、生理食塩水や局所麻酔薬を注射して筋膜リリースを行う方法など)との組み合わせも可能になり、回復期では行う事が出来ないリハビリも出来るポテンシャルもあります。
当院の行うリハビリテーション(予定)に関してはまた別の場所で詳しくご説明させて頂きますね。
今回のまとめ
まとめると、
- 生活期でのリハビリでは、改善を目指していける場が非常に少ない
- 生活期で行えるリハビリは原則、介護保険でのリハビリか、自費でのリハビリのみ
- 生活期のリハビリは、入院生活ではなく自宅生活がベースにあるため継続しやすい
- 生活期のリハビリは、高額な医療や自費医療も組み合わせる事が出来るため、回復期では出来ない質のリハビリが出来る可能性もある
です。