糖尿病には、すい臓の一部が破壊されることで、インスリンが作られなくなる1型糖尿病と主に肥満や運動不足が原因の2型糖尿病があります。
1型糖尿病の主な症状
症状は普通、突然あらわれます。
- 普段よりのどが渇く
- 頻尿
- 急激な体重減少
- 疲れがひどい
2型糖尿病の主な症状
2型糖尿病は、初期の段階では自覚症状がまったくないことが多く、症状があらわれるとしても、非常にゆっくり、少しずつあらわれます。
- 疲労感
- 皮膚が乾燥して痒い
- 手足の感覚が低下する、または、チクチク指すような痛みがある
- 感染症によくかかる
- 頻尿
- 目がかすむ
- 性機能の問題(ED)
- 切り傷やその他の皮膚の傷が治りにくい
- 空腹感やのどの渇きがひどくなる
糖尿病の初期は自覚症状がほとんどありません。
病状を把握するためには血糖値やヘモグロビンA1c(エーワンシー)を継続的に検査することが必要です。
これは過去1~2ヵ月の血糖コントロール状態を示していると考えられています。
ヘモグロビンA1c値は合併症の進行と深く関係しており、7.0%未満がコントロールの目安となります。
糖尿病の合併症
糖尿病は、手足の痺れや痛みなどの神経症状や進行すると失明に至る網膜症、腎機能障害などさまざまな障害を起こすことが知られています。
また、心臓病や脳卒中など、直接死亡リスクに関係する動脈硬化を引き起こすことも分かってきました。
糖尿病は自覚症状がなくても、見えないところで合併症が進行しています。
そして、気がついた時には合併症のため、日常生活に支障があらわれているということが少なくありません。
しかし、きちんと血糖値をコントロールできれば、合併症を予防できることがわかっています。
そのためにも、しっかり治療を行い、きちんと血糖値を下げることが必要です。
糖尿病の治療
「インスリンの作用不足」を改善し、血糖値をできるだけ正常にしなければなりません。
基本的に食事療法、運動療法、薬物療法の3つの治療法を組み合わせて行います。
まずは食事療法と運動療法による生活習慣の改善を行います。
それでも目指すべき血糖の目標に達しないときには、内服薬や注射薬による治療が行われます。
薬による治療を始めた後も、食事療法や運動療法は続けなければ、インスリンの働きが悪くなったり、薬剤での治療の効果は弱まってしまいます。
食事療法
糖尿病の予防には、肥満の是正が大事です。
そのためには摂取エネルギーの適正化を中心とした生活習慣の見直しが重要であり、体重の減少に伴って糖尿病の発症リスクは減少します。
運動療法
血糖コントロール・インスリン抵抗性・脂質代謝の改善が得られ、糖尿病を改善します。
運動療法の目標として、運動の頻度はできれば毎日、少なくとも週に3~5回、運動強度は中等度(ややきつい)の全身を使った有酸素運動、運動時間は各20~60分間行い、計150分以上が一般的に勧められています。
運動の種類には、有酸素運動とレジスタンス運動の2つがあります。
糖尿病の患者さんには、ダンベルなどを使って筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動より、歩行やジョギング、水泳などの全身運動にあたる有酸素運動のほうが適しています。
有酸素運動を継続して行うことで、インスリンの働きがよくなるからです。
例えば、歩行運動なら、1日約1万歩、消費エネルギーに換算するとほぼ160~240kcalの消費が望ましいとされています。
歩行運動の目安は1回につき15~30分間、1日2回行います。
毎日行わなくてもかまいません。
1週間に少なくとも3日以上の頻度での歩行運動が望ましいとされています。
運動療法の原則
- 準備運動と整理運動を行いましょう。
- 軽い運動からはじめ、少しずつ運動量を増やしましょう。
- その日の体調に合わせ、決して無理をしないようにしましょう。
- 運動は継続が大事です。続けられる運動を選びましょう。
- 運動前後の血糖値や尿糖をときどき測りましょう。