冬になると毎年のように流行するインフルエンザ、ふつうの風邪と何が違うのかご存じでしょうか?
ここではインフルエンザの特徴や予防・治療法など基本的知識とコロナウイルス感染症との違いについて解説します。
インフルエンザとは
インフルエンザとは「インフルエンザウイルス」に感染することでかかる感染症です。
一般的な風邪症状といえば、発熱や咳、鼻水などが多いでしょう。
インフルエンザの場合は、それに加えて関節痛や筋肉痛、ひどいだるさといった全身の症状がでやすいのが特徴です。
一般的な風邪よりも高熱になりやすいこと、重症化しやすいことから、風邪とは区別して取り扱っています。
インフルエンザウイルスの種類
インフルエンザウイルスは、大きくA型・B型・C型の3種類が存在し、流行するのは主にA型とB型です。
特にA型は他のウイルスに比べて症状も強く世界的な流行として話題に上がりやすい感染症です。
少しずつ形を変化させているため免疫がつきにくく、大きな流行を繰り返すのも特徴の1つです。
インフルエンザの予防法
インフルエンザは、咳やくしゃみなどによる「飛沫感染」と、それに触れた手を介した「接触感染」の経路で感染します。
マスクをして飛沫が飛ばないようにすること、手洗い・うがいをしっかりおこなうことが、予防のために大切です。
また、空気の乾燥は、インフルエンザの流行を引き起こします。
乾燥した環境では、インフルエンザウイルスはホコリなどと共に舞い上がりやすいです。
そのうえ、喉が乾燥してしまうと、ウイルスに対する防御機能が弱まります。
こうした理由から、乾燥するとインフルエンザにかかりやすくなってしまいます。
したがって、加湿器を使ったり、洗濯物を部屋干ししたりして部屋の湿度をあげるようにしましょう。
ワクチン接種
ワクチンの接種も発症予防・重症化予防に役立ちます。
高齢者の場合、ワクチンを接種することで死亡の危険が80%減り、入院が必要なレベルの重症化も半分以下になることがわかっています。
お子さんの場合、ワクチンを接種することでA型インフルエンザを60%、B型インフルエンザを40%予防できます。
5か月ほど効果が持続するので、流行が始まる前の11月ごろに接種をするのがおすすめです。
以下のような重症化しやすい要素をお持ちの方は、積極的にワクチン接種をご検討ください。
- 高齢者
- 子ども
- 妊婦
- 喘息やCOPDなど呼吸器の病気がある方
- 心不全など心臓の病気がある方
- 糖尿病のある方
- 免疫抑制剤(ステロイドなど)を使っている方
インフルエンザの治療
インフルエンザにかかってしまった場合の治療法についてご紹介します。
ほとんどの方は、とくに治療薬を使わなくても1週間程度で自然に回復します。
高熱でだるさがつらいときには、解熱薬を使用すると少し楽に過ごせるでしょう。
市販の解熱薬を使ってかまいませんが、子どもには「アスピリン」「ロキソプロフェン(ロキソニン)」「イブプロフェン」を使わないようにしてください。
インフルエンザのときにこれらの解熱薬を使うと、インフルエンザ脳症のリスクが高まる可能性があります。
「アセトアミノフェン」は問題ありません。
インフルエンザの治療薬(抗ウイルス薬)は、あえて使用しないこともあります。
治療薬の種類にもよりますが、治療薬を使っても、発熱している時間を1~1.5日短くする程度の効果しかないためです。
治療薬を使うかどうかは、個々人に合わせた判断となります。
重症化のリスクがある方などは、治療薬を使った方がよいでしょう。
このあたりは医師と相談してみるのがよいかもしれませんね。
また、同居しているご家族がインフルエンザにかかってしまった場合、「インフルエンザの発症予防」の目的で治療薬を使うことがあります。
発症した人と接触して48時間以内であれば、予防の目的で薬を使うことが可能です。
重症化リスクがある、大事な受験を控えているなど、なるべく発症を予防したいという方はご相談ください。
新型コロナウイルス感染症との違い
新型コロナウイルス感染症の流行が長く続いていることから、冬にはインフルエンザとの区別が難しくなると予想されています。
この2つの感染症には、どのような違いがあるのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症 | インフルエンザ | |
---|---|---|
潜伏期間 | 1~14日間 | 1~3日間 |
症状 | 発熱、喉の痛み、全身のだるさ、味覚異常、嗅覚異常、頭痛など | 発熱、喉の痛み、全身のだるさ、筋肉痛、関節痛、頭痛、寒気など |
肺炎の発症率 | 5%ほど | 1~3%ほど |
2つの感染症は症状がどちらも似ており、ご自身で区別するのは難しいかもしれません。
周囲の感染状況からある程度推測可能ですが、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の両方を検査するというのも一つかもしれません。
なお、発症してから48時間以内に、発熱と喉の痛みの両方が症状としてあらわれた場合には、インフルエンザの確率が高いといわれています。
新型コロナウイルス感染症の場合、最初は「喉が乾燥したのかな?」「声が枯れているな」など、感染症とは思わないような症状が出ることが多いようです。
熱が出た、喉に違和感があるなど風邪症状のある方は、念のため出勤や外出などを控え、ご自身で検査キットを使用するか、発熱外来を受診しましょう。
まとめ
インフルエンザは、毎年冬に流行し、一般的な風邪よりも高熱が出やすい、だるさや関節痛など全身に症状が出るといった特徴があります。
子どもや持病のある方、高齢者は重症化しやすいです。
発症予防・重症化予防のため、ワクチンの接種をご検討ください。
流行シーズンに発熱や喉の痛みが出た場合はインフルエンザや新型コロナウイルス感染症の可能性がありますので、発熱外来を受診しましょう。