後遺症とは
新型コロナウイルス感染症から回復した後にも、罹患後症状(いわゆる「後遺症」)として様々な症状が見られる場合があります。
WHO(世界保健機関)では「新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないもの(通常はCOVID-19の発症から3カ月経った時点にもみられる。)」と、後遺症(post COVID-19 condition)について定義しています。
後遺症の頻度(発症割合)
海外での報告では、COVID-19の診断等の後2カ月あるいは、退院等の後1カ月を経過した患者の72.5%が何らかの症状を訴えていました。
症状
呼吸器症状
- 咳(せき)
- 喀痰(痰が出る)
- 息切れ
- 胸痛
全身症状
- 倦怠感
- 関節痛
- 筋肉痛
精神・神経症状
- 記憶障害
- 集中力低下
- 不眠
- 頭痛
- 抑うつ
その他の症状
- 嗅覚障害
- 味覚障害
- 動悸
- 下痢
- 腹痛
治療
様々な症状が出ることがありますが、どれも確固たる原因が掴めることは少ないです。
肺炎が残存しているなど明らかな原因がないかどうか、しっかりと診察や検査していくと同時に、そのような原因がない場合(≒ほとんどの後遺症の場合)、対症療法(症状を和らげる治療)やリハビリ、精神的ケアなど総合的なアプローチでフォローアップしていくことが必要になることが多いです。
エビデンスがある治療は基本的にほとんどありませんが、徐々に自然と改善していくことがほとんどです。
当院では、漢方薬などを併用し、改善を後押しするサポートも同時並行で行っていきます。
リハビリテーション
安全で効果的なリハビリテーションは回復の基盤となります。
無理な生活を行いますと、倦怠感や症状が増悪します。
症状に応じて適切な活動ペースを自己管理でき、徐々に日常生活を再開できるよう指導していきます。
症状に応じて、呼吸専門理学療法士が個人に適したリハビリを開始します。
- 活動量の調整
- 心拍数のモニタリング
を行いながら労作時(生活時)に呼吸状態が低下しないように安全に行っていきます。
また、呼吸に負担の少ない生活方法や自主トレーニングの指導も合わせて行なっていきます。
産業医学的アプローチ
後遺症でみなさん一番心配されるのは、「仕事や学校をどうするか?」だと思います。
社会に復帰していくまでに罹患後の症状のため、様々な社会生活での制限を受けることがあります。
当院では、院長が産業医の資格も保持しており、産業医的なアプローチを行えるとともに、お勤め先や通学先に産業医や産業カウンセラー、労働安全コンサルタントなどがいる場合には、その方達とも連携し、皆様が少しでも安心して療養に専念できたり、スムーズに職場復帰されるお手伝いをしていきますので、そのようなお悩みも遠慮なくご相談ください。
後遺症かなと思ったら
後遺症の可能性がある場合は、以下の医療機関での受診をご検討ください。
- 新型コロナウイルス感染症の診断をうけた医療機関
- かかりつけ医
- 対応医療機関(茨城県ホームページから一覧をご覧になれます。)

つくば市のB-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニックでは、医師をはじめスタッフ全員のチームプレーで、みなさまの健康をお守りいたします。
ちょっとした身体の不調や、受診してよいか悩むような場合でもお気軽にご相談ください。
参考資料
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント 第1版」