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B-Leafメディカル内科・リハビリテーションクリニック

新型コロナウイルス感染症④
~ワクチンについて その1:原理~

新型コロナウイルス感染症4回目の記事は、今話題のワクチンについてご説明していきたいと思います。

ワクチンがどのようにして効くのか?

ちまたでは、「遺伝子が組み替えられてしまうのでは?」「ウイルスの遺伝子が入り込んでしまうのでは?」みたいな疑念をもっている方もいらっしゃるようなので、そこからしっかりとお話します。

コロナウイルスの構造

そのために、ウイルスの構造からご説明します。

ウイルスの構造を非常に簡単に説明すると、ウイルス本体の周囲にトゲが出ている構造となっています。

模式的な図にすると下の図のようになります。

このようにウイルスはトゲを持っています。このトゲをヒト細胞に刺す事で、ヒト細胞の中に侵入してきます。(下図の①)

体内に侵入したウイルスの増殖方法

入り込んだウイルスがどのように増殖するかというと、

というのが、典型的なウイルスの増殖の仕組みです。

新型コロナウイルスはのどや肺の細胞や消化管の細胞を破壊する傾向が強いため、肺炎を起こしたり、下痢や味覚障害などを起こしやすいといわれています。

図で表すと下のようになります。

図:ウイルスの増殖の仕組み (理化学研究所計算科学研究センターHPより引用)
「富岳」を用いた新型コロナウイルス表面のタンパク質動的構造予測(課題代表者;理化学研究所 杉田 有治) 参考:コロナウイルスの増殖メカニズム

ご覧のように、ウイルスが感染した時に、
「ウイルスの遺伝子が人間の遺伝子に組み込まれるということは『ありません』」!!

大事なところなので、敢えて強調をしておきました。

新型コロナウイルスのワクチンとは

では、今度は新型コロナウイルスのワクチンがどういうものかをご説明します。

現在使用されているのは3種類

日本で適応が通ったワクチンは現時点では3種類あります。

ファイザー製のワクチン、モデルナ製のワクチン、アストラゼネカ製のワクチンの3種類ですね。

今現在使用されているのはファイザー製のワクチンです。

ファイザー製とモデルナ製は同じタイプで、「mRNA」ワクチンというタイプです。

アストラゼネカ製のワクチンは「ウイルスベクター」ワクチンというタイプです。

両方とも他の領域で使われている「生ワクチン」や「不活化ワクチン」とはタイプが異なるものなので、そこの説明をしていきます。

生ワクチン・不活化ワクチンはウイルスそのものを使用したワクチン

生ワクチンとは、「毒性を弱めた生きているウイルスを投入するもの」です。感染の可能性がない訳ではありません。

不活化ワクチンとは、「ウイルスを原材料レベルまでバラバラにして、投与するもの」です。原材料レベルまでバラバラにするので感染性は残っていません。

このようにウイルスそのものを活用するのが今までのワクチンです。

体内にウイルスのレシピ本を入れ込む

これに対して、mRNAワクチンとウイルスベクターワクチンは根本的に全く違います。

mRNAワクチンとウイルスベクターワクチンは本質的には同じ原理で作られています。

非常にざっくりとお話すると、これらのワクチンは、
「ウイルスの遺伝子=レシピ本を人工的に作り出して、それを生体内に投与し、生体内でレシピ通りに狙いたいものを作らせる」
という形になります。

そしてこのワクチンが作らせたいもの(レシピの種類)は、ウイルスの「トゲ」になります。

先ほど、ウイルスがヒトの細胞に侵入するためには、「トゲ」が必要というお話をしました。

ヒトの免疫細胞や抗体もこの「トゲ」をターゲットにします。

つまり、ウイルスそのものが身体の中に入ったことがなくても、「トゲ」に対して免疫が働けば、ウイルスを叩く事ができる、というのがこのワクチンのメカニズムです。

このトゲのレシピ本であるトゲの情報を持ったmRNAを、
「人工的なタンパク質の膜で包んで」投与するのが、mRNAワクチンで、
「病原性のないアデノウイルスなど別のウイルスにこのmRNAを封入して」投与するのがウイルスベクターワクチンです。

このような方法で生体内に取り込まれたトゲのレシピ本を元に、トゲの抗体などが出来るのが、今主流の新型コロナウイルスワクチンなんですね。

体内に入るのはレシピのみ

そして先ほど、大事だとお伝えした事。
「ウイルスの遺伝子が人間の遺伝子に組み込まれるということは『ありません』」!!
でしたね。

このように、ヒトの細胞内に入り込んだmRNAはヒトの遺伝子に組み込まれることはなく、ただレシピ本として存在するだけです。

なので、一部の人が危惧している
「遺伝子が組み替えられてしまうのでは?」「ウイルスの遺伝子が入り込んでしまうのでは?」
みたいな事は起きないため、人間が全く違う生物になる、みたいなことも起きない訳ですね。

実際に、mRNAを投与した位でそのような事が起きていたら、私たちの周りにはウイルスだらけなので、数年で全く違う存在になっていると思います。

そんなことが現実起きてないので、そういう心配は誤解だということもおわかりになるかと思います。

また、mRNAなどの遺伝子というものは非常に繊細で壊れやすいです。

だから、-90℃~-60℃で保存をしたり、振ったり振動を与えたりしてはいけない、のですね。

なので、生体内で長く留まることもあり得ないため、長期の副作用も原理的には考えにくい、というお話になります。

今回は、ワクチンの効果の原理的なことをお話しました。

次回は、実際にどの程度効果があるのか?や、変異株に対して効くのかどうかなど、一番皆さんの中で興味があるであろうことをお伝えしますね。

まとめ